【市議会質疑応答】放課後児童クラブの運営について(平成30年12月定例会 小久保 博史議員)

2019年度から放課後児童クラブの運営はA、B、Cブロックに3分割され、ブロックごとに指定管理者が運営することになった。2018年に公募をしたところ、これまで運営していた社会福祉協議会が参加申請せず、株式会社トライグループが申請・採用された。トライグループとは、家庭教師のトライなどの教育事業や人材派遣業などを行っている民間企業だ。営利を目的としない社協による運営から、営利を目的とする民間企業に運営主体が変わることで、多くの保護者が保育の質や量の低下、保育士の就労などに対して不安をいだくようになった。2018年12月には、市長あての要望も行われた

12月定例会では4日に小久保博史議員(前進かすかべ。未来の会)が質問しているので、その一問一答を抜粋する。

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◆指定管理者の選定までの経緯

小久保博史議員
放課後児童クラブについてということで、お伺いをしてまいります。先日の質疑におきまして、社会福祉協議会が放課後児童クラブの運営から撤退する理由が明らかになりました。私も、今回のこの事態は、本当にどうにかならなかったのかなと大変残念に思っております。しかしながら、放課後児童クラブを利用している子供たちや保護者が今一番望んでいることは4月以降も引き続き現在のクラブ環境が継続され、安心して通えることだと思います。また、新たな指定管理者の運営がどのように行われていくのか、大変不安に思っております。
そこで、仮に議決された場合、トライグループによる運営が今後どのように行われていくのか、伺っていきたいと思います。
初めに、社会福祉協議会の事業撤退が明らかになった以降、利用者や支援員に対し、市としてどのような対応を行ってきたのか、伺います。また、説明会が行われたと聞いていますが、利用者の方々からどのような意見があったのか、あわせてお聞かせください。

◎内藤信代 こども未来部長
放課後児童クラブについてのご質問に答弁申し上げます。
これまでの市の対応についてでございますが、指定管理者の募集締め切り後に現指定管理者であります、社会福祉協議会が事業から撤退することを把握したため、社会福祉協議会と協議を行い、合同で説明会を開催し、保護者や支援員の皆様に対しまして、新たな指定管理者の選定に関する考え方等につきまして説明を行ってまいりました。
まず、支援員に対しましては、9月中旬から10月中旬にかけまして、計3回説明会を開催いたしました。その中で募集における経過等を説明いたしまして、新たな指定管理者の選定の方針について理解を求めてきたところでございます。
次に、保護者の皆様に対しましては、平成30年9月下旬に開催されました父母会連絡会主催の説明会のほか、10月上旬に地域別に保護者説明会を5回開催し、社会福祉協議会とともに指定管理者募集の経緯や3つのブロックに分割した理由などにつきまして説明を行ってまいりました。
その説明会の中で保護者の皆様からのご意見といたしましては、事業者が変更になり、支援員がかわってしまうことで、これまでの内容が大きく変わってしまうのではないか。学童まつりは継続していただけるのか。保育料はどのように変わるのかなど、今後の運営に対する数多くの意見をいただきました。今までにいただいたさまざまなご意見に対しましては、指定管理者の指定議決がいただけた後に、この後の答弁も、仮に指定議決をいただいた場合として答弁をさせていただきたいと思います。
指定議決をいただけた後に速やかにトライグループと内容について協議し、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。また、保護者の皆様には、今後の説明会にてご意見に対する対応を説明してまいりたいと考えております。
以上です。

◆トライグループへの評価と期待

小久保博史議員
それでは、放課後児童クラブについて重ねてお伺いしてまいります。新たな指定管理者の選定方針のための説明会が行われたということがわかりました。その際の利用者の方々の意見からもわかりますように事業者がかわることに不安があります。
そこで、新たな指定管理者候補者として選定されたトライグループ、社会福祉協議会と同様に安定したクラブ運営ができるのか、伺います。運営できると判断した根拠についてもお聞かせください。

◎内藤信代 こども未来部長
指定管理者の選定に当たりましては、各事業者からの事業提案や計画などによりまして、保育の継続性の担保や保育サービスの向上を重視し、現支援員の継続雇用について、よりすぐれた団体を選定したところでございます。
その結果、今回指定管理者として選定したトライグループは、支援員の確保策にすぐれ、他市における放課後児童クラブの運営実績もございます。安定した運営が行われていることを確認しております。
これまでになかったサービスでございますが、主に児童の学習面では、教育産業に強みがある事業者でございますので、学習習慣が身につくようなプログラムも提案しております。
保護者の皆様からは、宿題をきちんと教えてほしいという要望も多くございますので、このようなサービスを活用することで、さらなる保育サービスの向上にもつながるものというふうに考えております。また、保護者の皆様との連携と児童の安全という面からは、児童の毎日の登室状況を把握管理する入退室管理システムの導入の提案がなされております。
このシステムは、児童に入退室カードを持たせ、入室や退室の際に専用の機器、これはアイパッドでございますが、にタッチさせることで、保護者に入室や退室の情報がメールで送信されるもので、保護者はメールによりまして、児童の出席状況だけでなく、緊急時等の連絡を一括で行うことができるものというふうになっております。
市といたしましては、これまで社会福祉協議会が実践してきました春日部市の放課後児童クラブで培ってきたよき伝統を引き継ぎながら民間のノウハウを活用し、保育の質を確保するとともに、より一層のサービスの向上を図ることを期待しているものでございます。
また、トライグループは、現支援員の継続雇用も積極的であり、議決後、早ければ12月下旬には全職員を対象とした説明会を開催したいというようなお話も伺っております。市といたしましても、これまでの保育環境になるべく影響が生じないようトライグループと連携を密に図りながら放課後児童クラブの安定運営に努めてまいりたいと考えております。
以上です。

小久保博史議員
今のご答弁を聞いていますと、事業内容もさることながら、今回トライグループが選定された理由は、特に支援員の確保策という点が高く評価されたように感じるのですが、そのように理解をさせていただいてよろしいですか。現在の支援員の継続雇用も前向きに取り組んでいただけるようですが、やはり継続雇用されることは利用者の方々にとって強い安心材料となります。必要な支援員が確実に確保できるよう、市からも働きかけを積極的にお願いいたします。

◆保護者への説明

小久保博史議員
では、利用者の方々には説明会など、今後どのような対応を図っていくのか、伺います。

◎内藤信代 こども未来部長
今後の保護者への対応についてでございますが、議会閉会後速やかに、これは年内中を予定しておりますが、保護者説明会を開催してまいりたいというふうに考えております。また、社会福祉協議会とトライグループにおける業務引き継ぎの開始後におきましては、改めて各クラブにおいて説明会を開催し、トライグループの運営方針に対する理解と協力を求めてまいります。保護者の皆様と率直な意見交換を行いながら、信頼関係の構築を図るよう事業者に対してきめ細かな対応を求めてまいります。
以上です。

小久保博史議員
既に説明会の開催が予定されているようで安心をいたしました。利用者の方々は、運営事業者がかわることに不安を抱いています。その不安が解消できるよう丁寧な対応をお願いいたします。利用者の方々からは、さまざまな要望が出されると思いますけれども、誠実に取り組んでいただくようお願いを申し上げます。

◆指定管理者の引き継ぎについて

小久保博史議員
では次に、新たな指定管理者による放課後児童クラブの運営においては、今後の引き継ぎが重要であると考えます。そこで、市はトライグループと社会福祉協議会に対してどのように引き継ぎを求めていくのか、伺います。

◎内藤信代 こども未来部長
引き継ぎにつきましては、まずは速やかに保護者説明会、これは先ほども答弁いたしましたが、説明会を開催いたします。
業務の引き継ぎにつきましても、運営責任者や現場レベルにおきまして丁寧に取り組むよう指導してまいります。業務の引き継ぎにつきましては、現在の協定書の中で社会福祉協議会が後任の指定管理者に業務の引き継ぎを行うことが定められておりますが、市も積極的に関与をしまして、現指定管理者と新指定管理者との協議、調整を行いながら、円滑な引き継ぎに向けた取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
引き継ぎ期間におきましては、実際の保育の現場におきまして、現指定管理者と新指定管理者の職員の合同によります保育を実施するなど、子供たちとかかわることで保育内容を確認するとともに、新たな支援員と子供たちが徐々になれていくような運用を考えており、支援員変更に伴う子供たちへの影響にも最大限配慮してまいりたいというふうに考えております。現在の保育環境を引き続き維持するため、綿密かつ丁寧な引き継ぎを実施してまいります。
以上です。

小久保博史議員
引き継ぎについては、市が積極的に関与していただけるのですね。引き継ぎに関しては、事業者任せにしないでいただきたい。社会福祉協議会の保育内容が確実にトライグループに引き継がれるよう、しっかりとお願いをしたいと思います。
では次に、実際に指定管理者が交代となる春休み期間中の保育について、これはどのように行うのか、お伺いします。

◎内藤信代 こども未来部長
春休み期間中における保育についてでございますが、3月中の春休み期間は、現指定管理者と新指定管理者によります合同保育の実施を求めていきたいというふうに考えております。この時期は、学年の切りかえにより新学期の準備など、さまざまな事務作業が発生いたします。また、学年の切りかえに伴う入室児童の保護者との面談も必要に応じて行うこともございますので、これらの業務を新たな指定管理者において速やかに対応するため、合同保育による現場での引き継ぎを実施するものです。
業務開始となる4月1日以降におきましては、入学前の新1年生もクラブに登室してまいりますので、春休み期間中におきましては、より一層子供たち一人一人に対する保育の配慮が必要となってまいります。このようなことから放課後児童クラブの運営におきまして、これまで培った保育のノウハウが確実に継承され、変わらぬ環境のもと、安心・安全な保育が提供されるよう、市といたしましてもトライグループ及び社会福祉協議会に適切な働きかけを行ってまいります。
以上です。

小久保博史議員
それでは、最後は要望させていただきたいと思います。
新学期を控えた春休みは、子供たちにとって特別な期間であります。進級やクラスがえなどが控えているわけですから、特に精神面のサポートが重要になると思います。だからこそ、子供たちが安心して過ごせるよう放課後児童クラブの保育環境を早急に整えていただくようお願いをいたします。春休み期間は合同で保育を実施するようですが、実際には、4月1日からはトライグループの運営になります。春日部市の放課後児童クラブの保育は、社会福祉協議会がつくり上げたものであります。トライグループが社会福祉協議会の保育を検証し、確実に運営していただくこと、そのことが本当に担保できるのか、そこが心配でなりません。
指定管理者制度には、更新に際し、管理者が変更になる可能性を有し、サービスの質の保全、継続性という点で利用者にとって不安を与える可能性があるということが、今回の件で改めて認識をすることができたと思います。ガバナンスの問題と同様に、業者変更を想定してリスク管理として制度の弱点を補完することも必要であります。指定管理者に対し、モニタリング、継続監視を行うことで市が求める業務の質を維持することになっています。福祉施設において指定管理者がかわる初めての事案であります。これまで以上の継続監視とリスク管理、これをしっかりとやっていただくよう強く要望して、この問題については終わらせていただきます。

◆関連リンク
春日部市放課後児童クラブ父母会連絡会
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